皮脂や汚れが問題か?
皮脂や汚れを問題にする美容情報や育毛情報が、どれほど多いでしょうか!?
育毛を仕事として取組み始めてから、この情報に接しない日はほとんどありませんでした。結果、ご相談者の方々は頭皮をダメにして、毛の育ちを悪くしていたのです。
人の皮膚はどうなっている
人の皮膚の構造がどうなっているのか、ご存知でしょうか?ネットで調べるといくらでも図解入りで出てくるので、調べてみて下さい。
ここでは簡単に文章で書いてみます。
一番外側の表面に皮脂膜があり、その下に角質層があります。この2つが表皮と言われている部分です。厚さは約0.2ミリ程度ととても薄いです。
- 皮脂膜
- 角質層=ひとつひとつの角質細胞の隙間に存在するセラミドが、まるで接着剤のような役割を果たして存在している
- 真皮
- 皮下組織
上記のように層になっているのです。汚れは「1」の皮脂膜の上に乗ることになります。
また皮膚常在菌も皮脂膜上に存在していて、汗や皮脂を餌とする皮膚常在菌の産生物質と混ざって皮脂膜は弱酸性に保たれているのです。
皮脂膜が弱酸性に保たれるていることで、細菌の侵入を防ぎ・保湿作用があって人の体を守っているのです。
皮脂を取るとトラブルを起こす
最近は少なくなりましたが、私が育毛相談を仕事とした1999年頃では、世間一般的な情報では「毛穴が詰まるから綺麗にしなさい」と言うようなものが多かったです。
未だに、ヘッドスパをメインのメニューにしているサロンでは、平気でそんなことを訴えていたりします。
TVCMでも、毛穴を綺麗にするシャンプーの広告が流れていたりします。
そんなサロンやシャンプーのメーカーは、ちゃんと皮膚の構造を理解した上で、そんなことを訴えているのでしょうか?
マイクロスコープで頭皮を見ると
マイクロスコープで頭皮を見ると皮膚にトラブルを抱えているように見えるから、綺麗にすることでトラブルがなくなるような訴えかけをしています。
本当にそうでしょうか?
皮膚にトラブルを抱えるようになったのは、「長年、頭皮を綺麗に洗い過ぎていたから」と言う原因が抜け落ちています。
脂分を取る=角質層を削る
市販のシャンプー(美容室のシャンプー・石鹸シャンプー含む)の多くは、脂分を取り去る作用が強いです。
脂分を取り去る作用が強いと、角質層をも削ることになるので頭皮が荒れてくるのです。
皮脂を取ることで不足した皮脂の分泌も増えて、角質層が痛んで荒れるので、マイクロスコープで頭皮を見ると、頭皮が荒れて毛穴が塞がったように見えるのです。
これを見て、「汚れや角質・皮脂がケアを塞いるので毛が育たない・発毛の邪魔をしている」なんて言っているのです。
皮脂を取ると毛の生育が悪くなる
こんな理由で頭皮の皮脂・汚れを取って綺麗にしていると、皮膚が弱り・痛んで血の巡りが悪くなり、結果的に毛の生育が悪くなるのです。
それ以外にも、脂分を採る作用の強いシャンプー剤は浸透力も強いので、毛穴内部の組織を痛める元にもなるのです。
2000年頃より言っているが・・・
手を変え品を変えて上記のようなことを訴えてきましたが、中々広まらなくてご相談を受ける度に困っていました。
そう言ったことがあるので、出版して少しでも多くの人に本当のことを知って欲しかったのです。
全てのシャンプーがいけないのか?
最近では、どこかの美容外科の先生が「色々調べた結果シャンプーがいけないのが分かった」として、湯シャンを勧める本を出版されました。
2013年に発売されていますから、私の情報か私の師匠筋の情報を調べたのかもしれませんね。本当のことは言わないと思いますが・・・。
ただ、「シャンプーをしないから良い」とは限らないのが薄毛のケアの難しいところ。
シャンプーの種類によっては、薄毛の原因の一つになるとしか言えないのです。
そして、シャンプーの目的次第では、大きな問題になることがなく、使い方次第では全く影響のないこともあります。
どんな目的のシャンプーを、どのように使うか?で変わると言うことです。
以上のことから、皮脂や汚れが問題なのではなく、皮脂や汚れを取り過ぎていることが問題なのです。
初出版の日:「髪は増える」
平成27年(2015年)8月6日は人生で始めて出版できた記念の日です。
自費出版ではなく、商業出版(印税が入る)ですから第三者の方に認められたと言っても過言ではありません。
長年頑張ってきた甲斐がありますね。
269号は平成27年(2015年)8月8日に配信したメールマガジンです。