薄毛と脱毛症は違うのです。男性型脱毛症のウソ。
256号の抜け毛の話の中で、以下のように書いたのを覚えていらっしゃいますか?
この抜け毛の変遷を見ると分かることがあります。
それは、抜ける毛の中身が、本来の太い毛から段々細くなり短くなっていると言うこと。
言い換えれば、以下の2つのが言えます。
- 本来の太い毛から細い毛に生え替わっている。
- 細い毛から先細りの毛に生え替わっている。
要は、抜けている毛が問題なんじゃなく、抜けた後に生え替わってきている毛が問題なんですね。
薄毛とは、本来の毛より細く育つようになっていく。本来の毛よりも成長しなくなっていく。
と言うように、抜けて生え替わってくる毛が、段々と太さが細くなっていき寿命=成長期が短くなっていく症状だと言えますね。
毛の生まれ替わるサイクルに当てはめると
1本の毛には、生まれ替わるサイクルのがあるのをご存知の方は多いでしょう。
発毛期(脱毛期)→前期成長期→成長期→後期成長期→休止期→脱毛期(発毛期)
と言うように、1本の毛は抜けて、次に生え替わってきて発毛し、成長して、成長が止まり、
抜けて次に生まれ替わっていく、サイクルを繰り返しているのです。
細くなり・寿命が短かくなっていくのは、成長期が短くなっていくことです。
上述の成長期が「0」になり、前期成長期と後期成長期が繋がるようになると、先の尖がった短い状態で抜けるようになると思って下さい。(生まれ替わってきて、1年未満で抜けていると思えば良いでしょう)
ところが、脱毛症の場合は、こんな悠長な状態ではありません。
成長途中でいきなりぬけてしまう
脱毛症の場合は、前期成長期から成長期そして後期成長期へと十分育っていて、太さも寿命も本来の状態まで育ち成長している途中でいきなり抜けてしまい、次に生まれ替わってこなくなるのです。
薄毛と脱毛症の違い:その1
薄毛と脱毛症の近い:その2
例えば、本来の毛のレベルを「5」とします。
薄毛と脱毛症の違い:その3
上記の続き。
- 薄毛の場合、「0」になってしまった毛はほぼ戻りませんが、「0」以外のレベルだと戻っていきます。
正常な血流が戻り始めると、「1」から「2」へ、「2」から「3」へ、「3」から「4」へ、「4」から「5」へと。
生え替わりながら戻っていくので、年月がかかるのです。
進行度の浅い人の場合で2年~3年ですが、進行度の深い人の場合は10年以上の時間がかかってもおかしくはありません。
- 脱毛症の場合は、「5」のままで成長途中で抜けているだけなので、血流が戻ると抜ける毛が無くなり「5」のままで一気に成長し始めます。
その為、1年程度の短期間で戻ることが多いです。
ただし、正常な状態に戻ると、ちゃんと生え替わりを繰り返すので、総本数を維持する為の抜け毛に戻ります。
大まかですが、薄毛と脱毛症には上記のような違いがあります。全く異なる症状だと言うのがお分かりになるでしょう。
それでは、男性型脱毛症とは上記の脱毛症に当てはまるでしょうか?
日本の医学界はどう見ているか?】
2010年に日本皮膚科学会が出した男性型脱毛症診療ガイドラインの中で、疾患概念として男性型脱毛症が記述されています。
以下原文です。
男性型脱毛症とは、毛周期を繰り返す過程で成長期が短くなり、休止期にとどまる毛包が多くなることを病態基盤とし、臨床的には前頭部と頭頂部の頭髪が軟毛化して細く短くなり、最終的には額の生え際が後退し頭頂部の頭髪が無くなってしまう現象である。
「生え替わることで「5→4→3→2→1→0」になっていく現象である。」と言っているのです。
症状と表現が食い違っている
成長しなくなって抜けていくと定義しているのだから、男性型薄毛と表現すべきものなのに、脱毛症と同一に表現するのはおかしいと思いませんか?
女性の場合も所謂病態概念は同じです。違うのは頭頂部が薄くなることです。脱毛症ではなく女性型薄毛と表現すべきものですね。
薄毛と脱毛症では増える効果が違う
脱毛症だと、毛が元に戻る為には抜け毛が減って発毛して増えるのです。
だから、短期間で元に戻ります
薄毛だと、毛が増えるには成長する毛に生まれ替わることを繰り返すのです。だから、年月がかかる上に、成長期が「0」になった毛は戻りません。
こういったことを知らされていないので、多くの人は、抜け毛を減らして発毛させようとして、その為の製品でその為の方法を採っています。
それで、薄毛人口が減ったのかと言えば全くの反対で、治せない人だけが増えただけになっています。
本当に薄毛を治したければ、前号に書いた「抜け毛」のことと今号の「薄毛と脱毛症の違い」を間違ってはいけません。
こういった視点で現在のネット上の情報を見て下さい。ほとんどのサイトの情報が間違っているのに気づくでしょう。
医療のサイトでも間違っているので、病院だから大丈夫なんて言うことはあり得ません。
253号は平成26年(2014年)12月27日に配信したメールマガジンです。