男性型脱毛症(薄毛)と改善の仮説
今号では、私が長い間育毛の現場で仕事をして感じる仮説について書きたいと思います。それは、男性型薄毛の発症についてとそれを改善する為の仮説です。
男性型脱毛症と言うから間違える
ちなみに、私は男性型脱毛症とは言いません。理由は、抜けること=脱毛することが症状ではないからです。成長期が短くなること・細くしか育たなくなること・寿命が短くなることが男性の薄毛の症状だからです。
薄毛は脱毛症ではない
だから、私は脱毛症と言う表現が大嫌いです。毛が抜ける病気のように感じる言葉だからです。
円形脱毛症やびまん性脱毛症なら毛が抜ける病気なので理解できます。が、普通の薄毛は、男性であっても女性であっても、毛が抜けるから薄くなるのではありません。
ここに育毛を考える時、効果を見ていく時に陥る罠があると思っています。このことについては、またの機会に書きたいと思います。
ただし、今号は一般的に脱毛症と表現されているので、あえて脱毛症という言葉を使っています。
次号では、女性の薄毛の発症について書きますので、女性の方は参考までに読んでみて下さいね。
さて、本題です。
薄毛の原因の二面性
前回まで、薄毛の大きな原因やその原因を受けやすい体質の人について書いてきました。
▼薄毛の習慣:外的な原因
- 普段使うヘアケア製品(カラーや縮毛矯正含む)
- 頭皮が弱っているのに育毛剤での失敗
- 所謂ストレスの影響(自律神経)
- サロンでのヘアケアの間違い
- 食習慣の影響
▼体質的なこと:内的な原因
- アトピー体質の人
- アレルギー体質の人
- 花粉症の人
- 貧血を起こしやすい人
- 低血圧の人・高血圧の人
- 冷え性の人
- 胃腸の弱い人(胃下垂等)
- 虚弱体質の人
- 皮脂の分泌が少ない人
上記の体質的なこと=遺伝に薄毛の外的な原因が重なれば、男性の場合に男性型の脱毛症になりやすいのでは?と思うのです。
男性の場合には、父親や家系的に薄毛の人が多ければ、薄毛の外的な原因の影響を受けやすい体質が遺伝するのでは?と言い換えることもできます。
男性型脱毛症発症のメカニズム
『5αリアクターゼ2型の還元作用によりテストステロンがジヒドロテストステロンに変換される』だけでは薄毛にならない。
ここに遺伝子の要素が加味されて初めて薄毛になるらしいのです。(遺伝は体質を受け継ぐことで、遺伝子とはDNAに書かれている情報のこと)
男性ホルモンの影響で薄毛になるメカニズム
- 5αリアクターゼⅡ型がテストステロンに影響して
↓
DHT(ジヒドロテストステロン)に変わる
↓
- 男性ホルモンレセプターと結びつき
- 標的遺伝子の影響で
↓
TGF-β1と言う角化細胞を抑制する因子が産出されることが必要です。
(男性型脱毛症の内容は、板見智著「毛髪科学最前線」を参考にさせて頂きました。)
髭(ひげ)は濃くなる
髭(ひげ)の部分にも5αリアクターゼⅡ型が存在しているが、頭部に比べて薄毛の外的な原因の影響をほとんど受けないので、IGF-1と言う成長因子が産出されて髭(ひげ)が濃くなるでは?
遺伝子=DNAの影響が発現するには
環境による影響が大きいと言われます。(詳しくは、村上和雄著「生命の暗号」をご参照下さい)
標的遺伝子の意味がはっきりと分かりませんが、たぶん、TGF-β1を産出する遺伝子ではないか?と考えています。
「TGF-β1」か「IGF-1」
「生命の暗号」によると、遺伝子による発現は絶対的なものではなく相対的なもので、環境により変えることが可能だとのこと。
「TGF-β1」か「IGF-1」かは、環境により変化するのでは?
とすれば、TGF-β1と言う角化細胞を抑制する因子ではなく、IGF-1と言う成長因子が産出されるように、環境を変えれば薄毛を治せるのではないか?もしくは、TGF-β1が産出されなければ良いのでは?と考える訳です。
あくまでも、今年で15年前後育毛の現場で仕事をしてきての仮説です。私は研究者でも医学者でもないので、この仮説を証明することはできません。
環境・習慣を変える
が、実際に環境を考慮することを習慣付けることで、医薬品以上に改善できているのを見ると、環境・習慣を整えることがとても大事なんだろうと思います。
薄毛を治すなら・脱毛症を治すなら、薄毛にならない・脱毛症にならない環境を習慣付けましょう。
186号は平成24年(2012年)5月5日に配信したメールマガジンです。
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