259号:皮脂は毛の生育には必要な分泌物

皮脂は皮膚常在菌の働きにより弱酸性にして細菌やウイルスからの侵入を防ぎ、乾燥から守る保護膜の役割と保湿剤の役割があります。皮脂がないと人は生きていけません。

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皮脂は毛の生育には必要な分泌物

私がこの仕事を本格的に取り組み始めた時から今まで、皮脂のことを問題する情報が減ったことがありません。

たぶん、「薄毛になっている」時の頭皮の状態や、毎日キレイに洗っている頭皮が当たり前になっているからだと思います。

何故皮脂が問題にされるようになったのか?

私が子供の頃や大学生の頃までは、ほとんどの人が週に1回洗髪するのが普通でした。

特に子供頃は、自宅にお風呂がない家庭もあり、銭湯にいくか近所のお宅のお風呂を借りていたからです。

1960年~1970年頃からでしょうか?
自宅にお風呂がある家庭が増えて、女子高生から毎日の朝シャンが流行りはじめました。

そして決定的なのが、1990年代の育毛サロン各社のマスメディアを通じての広告とTV番組での特集です。

今でもサロンを紹介する雑誌なんかの特集記事で見るように、皮脂を取って綺麗にすれば「毛の生育を邪魔し塞いでいる皮脂と汚れが落ちて、毛穴が開いてこんなに綺麗になるのですよ」と放映され記事にもされたのです。

そして、皮脂が薄毛の原因とされてしまい、「ハゲたくなければ皮脂を取れ!」思わされてしまったのです。

人の体は汚れているのが普通

清潔好きの日本人からすると「人の体は汚れているのが普通」と言うと、おかしな人とか変な人と思われますが、皮膚には皮膚常在菌が住んでいて人と共生関係にあります。

皮膚常在菌は人の体が分泌する皮脂を餌として生きていて、その分泌物と汗とが混ざって皮膚表面を弱酸性に保つ皮脂膜を形成し、人の体を細菌の侵入や乾燥から守っているのです。

皮脂は人の体を乾燥から守る保湿剤でもあるのです。

ですから、皮脂は結果的に毛の生育には必要な分泌物だと言えます。

表現はおかしいですが、普通に汚れていることで人は正常に生きていけるのです。

皮脂を取る行為はエコロジーを乱す

普通に汚れていることで正常な皮膚になっているのに、これを乱す行為が皮脂を取り去る行為です。

皮脂と皮膚常在菌は、人が生きていく為には必要なものです。ですから、皮脂を取り去ることを続けていると再分泌を繰り返します。

1990年代の前からの毎日の朝シャンから、それ以降は皮脂を取り過ぎるシャンプーで皮脂を取る方法をとってきているのですから、皮脂の分泌が増えている人がとても多いです。

結果、清潔にして皮脂の分泌が増えた分皮膚常在菌のうちの黄色ブドウ球菌等の悪玉菌の繁殖が活発になり、その分泌物が臭うようになっている人までいます。

要は、化学肥料や農薬で土地のエコロジーが乱れて痩せるように、頭皮のエコロジーが乱れて衰えている人が増えているのです。

キレイになるからとヘッドスパをすると

雑誌やネット上のサイトでは、ヘッドスパをすると「使用前→使用後」のように毛穴がキレイに開いた写真をよく見ます。

これが正常だと記述されていますが、本当に良いことなんでしょうか?

「この方が異常だ!」って私には感じられます。

使用前の頭皮の状態がとても汚れて見えるのは、今まで皮脂を取り去るようなケアを自分でしているからです。

皮脂を取るようなケアを改めて、ご自身本来の皮脂と皮膚常在菌の状態に戻れば、皮脂を取ってキレイにしなくても普通になるのです。

その普通の状態が分からないから、皮脂を取った後のキレイな状態を普通だと思ってしまうのでしょう。

頭皮が正常に戻る方がキレイになる

弊社のご相談者の中には、ご自分でマイクロスコープを持っていて、常にご自分の頭皮の変化を確認していらしゃる方がいます。
その方が以下のようにおっしゃっていました。

皮脂を取って綺麗にしていた時よりも、皮脂を取らずに皮膚の状態が正常になった今の方が綺麗だと。

ただし、シャンプーで頭皮をキレイにして皮脂を取るのが駄目なら、皮脂を取らない湯シャンだけが良いのかどうかは私には分かりません。が、私自身湯シャンをお薦めする場合があります。

それは、本当の頭皮の状態を確認したい時と頭皮の異常さが半端なく悪く水しか使えない時です。

頭皮の状態が悪くない時には湯シャンでもいけるかもしれませんが、通常頭皮の状態が悪い人が多いので、湯シャンでは少々難しいかもです。

259号は平成27年3月21日に配信したメールマガジンです。

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